社会全体の副業解禁の流れの中、自身のセンスやスキルを活かして、在宅ワークで副収入を得る女性が増えています。
個人でネットショップを開けるアプリでハンドメイド作品を販売したり、依頼を受けて似顔絵やSNSのアイコンのイラストを描いたりと、趣味から始まった副業が本格的な作家活動につながる人もいます。
注意したいのは、副業で得た収入は自分で確定申告を行い、税を納めなければいけない点です。
会社員のかたわら副業をしている、またはこれから副業を始めたいという方は、確定申告について把握しておきましょう。

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額と、それに対する所得税等の金額を、計算し確定させる手続きです。
日本の税制は「申告納税制度」です。申告納税制度では、確定申告によって自分で課税所得額と納税額を計算し、自己申告して納税します。
例外として、給与所得者のほとんどは「年末調整」で会社側が所得税額の計算および過不足精算を行うため、自分で確定申告をする必要がありません。
しかし確定申告を行うことで、住宅ローン控除や医療費控除、ふるさと納税(寄付金控除)など税金が返ってくるメリットがあるので、サラリーマンの中にも確定申告を行う人もいます。
確定申告が必要な人が申告を怠った場合は、「加算税」や「延滞税」が加算されるペナルティが課せられます。

では、会社に勤めるかたわら副業で収入がある場合、確定申告は必要なのでしょうか。
判断のポイントは、年末調整を受けた給与所得(本業)以外の所得が20万円を超えるかという点です。

１．副業がアルバイトやパートの場合
アルバイトやパートの収入が年間20万円以下の場合、確定申告の必要はありません。
アルバイトやパートは「給与収入」なので経費が認められず、全額が課税対象と見なされます。

２．副業がアルバイト・パート以外の場合（クラウドソーシングの在宅ワークやネットショップの作品販売など）
副業の所得が20万円以下であれば確定申告の必要はありません。
※「所得が20万円以下」とは
所得とは、大まかに言えば「売上−経費」のことです。例え売上が50万円あったとしても、経費に35万円かかっていれば所得は差し引き15万円になるので、確定申告は不要です。
所得を計算するには、売り上げ収入と経費の支出を帳簿に付けておく必要があります。

３．副業でアルバイトやパートとそれ以外の両方で収入がある場合
アルバイトやパートの収入とそれ以外の所得の金額を合計して、20万円以下であれば確定申告の必要はありません。

ここで注意したいのは、20万円以下であれば申告不要となるのは所得税に限られる点です。20万円以下の場合でも、市区町村に支払う住民税は課税対象です。
確定申告しない場合は、市区町村に対して別に申告が必要となります。

確定申告は必要な書類が多く、難しく面倒なものというイメージがあるかもしれません。
本業があるので平日はなかなか税務署に行く時間がない、期限までに確定申告できるか不安という方もいるでしょう。
書類の作成については、税務署や確定申告会場で無料相談が行われています。
また、インターネット上で簡単に書類作成できるサービスやツールも充実しています。
国税庁の電子申告システム「e-Tax」なら、書類作成から提出まですべてweb上で済ませることも可能です。
確定申告には白色申告と青色申告があり、白色申告なら簡単な帳簿でもOKです。
一方、青色申告は節税メリットが大きいという利点があります。
青色申告に必要な帳簿類は、クラウド会計サービスを利用すると簿記の知識がなくても簡単に作成できます。

はじめての確定申告は、不慣れなために悩んだり焦ったりすることがあるかもしれません。
しかし無料相談やツールを活用しながら一度経験してしまえば、要領を得た次の年からはよりスムーズに確定申告できるようになります。
確定申告で正しく納税すると、「これが私の仕事である」と胸を張って言える自信が生まれます。
趣味やスキルを活かした副業を始めたら、ぜひコツコツと続けて、より大きな収入や納税の充実感を得ることにチャレンジしてみましょう。